研ナオコの「かもめはかもめ」から、ちあきなおみの「紅い花」へと続く2曲は絶品。

畠山美由紀のアルバム「歌で逢いましょう」は、歌謡史に残る名曲たちに新たな命を 注ぎ込んだ名盤になる可能性を
感じています。

とりわけ研ナオコの「かもめはかもめ」から、ちあきなおみの「紅い花」へと続く2曲は、何度聴いても絶品そのもの。歌と演奏が一発録音という、見事なテイクです!畠山美由紀にも、ミュージシャンたちにも、大きな拍手を送りたい。

とくに「紅い花」については、本家のちあきなおみに肩を並べるか、それ以上とも思える仕上がりになった。
そのことには、すっかり感銘を受けました。
これは音楽家と歌手が一体となって初めて成し得た快挙だと思います。そして、ちあきさんへのリスペクトの気持ちも、十二分に伝わってきます。

ここから日本の新しいスタンダードになってほしい、そう願わずにはいられません。

平山三紀の「真夏の出来事」

はっぴいえんどが日本語のロックに挑んでいた1971年の音楽シーンにあって、平山三紀の「真夏の出来事」は、まぎれもなく”新しい音楽”として登場してきた。
 
エレキベースが16ビートでうねるリフをイントロから最後まで弾いているところに、左のチャンネルからはリズムをキープするパーカッションとアコースティック・ギター、右のチャンネルからはアクセントを効かせたハイハットとドラムが絶え間なく鳴っている。
 
そんな革新的なサウンドは、日本でおそらく最初だったし、そこから生まれてくるファンキーなグルーヴ感も、ヒントを得たと言われるモータウンの原曲、シュープリームスの「恋はあせらず」よりずっと強力だったのである。
 
しかも平山三紀は鼻にかかった独特の乾いた声で、「カ~レのん ク・ル・マ~にのッてん」と軽く突き放すように歌っていく。
 
日本語を16ビートに乗せるために、言葉の切れ目に「ん」を入れて歌う平山三紀は、久世光彦の言う「ユニークな歌い方の歌手」そのものだった。
 
この「ん」を体得するためには、筒美京平橋本淳のもとで、1年間以上のレッスンが行なわれたという。
 
http://www.tapthepop.net/extra/14923 @TAPthePOP ” 変な歌 ”を構成するふたつの要素を、完全に満たしていた平山三紀の「真夏の出来事」